【禁断のニコチントマト】農学院生が解説してみた
ほいっす!農学院生のもすた(@mosumosutan)です。
今日は面白いツイート&農YouTuberを発見しました。
それがこちら。
禁断の『ニコチントマト』を作ったと言う動画です(ノウカノタネTVより)。
なかなかに面白い企画を出しています。笑
さらに本日のツイートでこのニコチントマトが結実していたことがわかりました。
ニコチントマトチャレンジ
— つるちゃん (@tsuru_chans) 2020年6月6日
ニコチン含有量日本一のタバコに接ぎ木した悪魔のトマト、結実しました… pic.twitter.com/N9HzAAVtrB
まじか、、😂
面白すぎるので農学院生が徹底解説していきます。
接ぎ木ってなに?
ホームセンターなどの苗に「接ぎ木苗」と書かれているものを見た経験はないでしょうか? 今回使われているのはまさに、その技術です。
接ぎ木技術は、一般的に土壌伝染性病害や低温伸長性、吸肥力を高めるなどの収量や果実品質の向上を目的に行われます。
根が強い台木と生育がよく、品質の良い果実がとれる穂木のいいとこ取りをしていると言うわけです。
この動画ではタバコの苗(台木といいます)にトマトの苗(穂木といいます)を接ぎ木しています。タバコもトマトもどちらもナス科なので親和性が良いと考えられます。
接ぎ木の種類は、挿し接ぎ(スイカ、ナス)、呼び接ぎ(きゅうり、メロン、スイカ)、断根挿し接ぎ(スイカ、きゅうり)、斜め接ぎ(トマト、ナス、ピーマン)、割り接ぎ(ナス、トマト)などがあります。今回使っているのは割り接ぎだと思われます。
接ぎ木ができる原理
なぜ異なる二種類の植物がくっつくのか不思議ですよね。
植物には分化全能性と呼ばれる、一つの細胞が、個体を構成する様々な種類の細胞に分化できる能力を持っています。
これを利用して、一度切られてしまった細胞から個体を再生することができます。
また、傷ついた部分は植物ホルモンの勾配差により感知され、傷再生に関わる遺伝子が働くことがわかってきています。
日本語で書いてあるので、興味ある方は以下を参照してみてください。
接ぎ木がなぜできるのかは、まだ謎が多いようです、、
農学は技術が先行するので、しばしばメカニズムは置き去りにされます。笑
ニコチンは果実に蓄積するのか。
本題はここですね。笑
タバコのニコチンはアルカロイドの一種として知られています。
動画で仰っている通り、ニコチンはタバコの根で作られます。そして、導管を通して地上部に転流され、葉の表皮細胞の液胞に蓄積されることがわかっています(葉の乾燥重量 2~8%程度)。
タバコと同じナス科のトマトにも元々微量ながらニコチンは含まれています。しかし、これは全く体に害のない量です。
さてここからです。
良い参照論文を見つけられませんでしたが、タバコを台木として接ぎ木したトマトの葉はニコチンの蓄積がわずかに増加します。しかし、これも非常に微量で、健康には全く害がありません。
では、果実には影響はないのでしょうか。
結果として、トマト果実の蓄積量は増加したが、これも体に害がないくらい微量な蓄積でした。
つまり、理論上は「ニコチントマトは普通のトマトと変わらない」ということが先行研究から推測できます。
これは、トマト(穂木)にはニコチンを蓄積できる能力がないためだと考えられます。
逆に、タバコにはニコチンを特異的に蓄積できる仕組みが備わっているそうです。
結論!
タバコを台木として接ぎ木したトマトの葉や果実のニコチン量はわずかに増える。
トマトが元々蓄積しているニコチン量と変わらず、体に害はない。
*あくまで理論上の話
いや〜 めちゃめちゃ面白いことやる農家さんですね。
好きです、こう言うの。笑
接ぎ木技術は意外と誰もができるようなので、もし興味があれば実験してみてください〜
その際は結果も教えてください!
それでは!!